第十話 『好きなこと、嫌いなこと ~嫌い編』


ワンマンコラム『じろうの道草』。第九話から続いて今週は『~嫌い編』。

「自分のことを、実は自分が一番知らない」というところから、まずは自分の好き嫌いを書き出して自己分析してみるという二週にわたる続き題材。今週初めてみるヒトのために一応書いておく。 一話完結ではないので『じろうの道草 第九話』を読んでいないようであれば、まずそちらから。

ちょっとネガティブなお題だけど、軽い気持ちでよろしくどうぞ。


「嫌いなこと。」

● 信号
唐突に色がかわって止まらなきゃいけなくなるあの感じ。 信号を避けるように、毎日出勤の道順が違うということも信号嫌いの証。ただその日の気分というウワサも。

● 設定
メール、サーバー、登録などのPC関連すべて。スマホ、家電、人間設定ととにかくあらゆる設定が嫌い。あと取説のあの分厚い本も嫌い。

● 犯人と間違われて、追われる映画/ドラマ
この手の映画やドラマを観ると、心がソワソワして辛くなる症状が、幼少の頃から必ず起こる。『えん罪』とか言葉だけで拒否反応。疑われることに恐怖心があるのかもしれない。

● パーティー
レセプションパーティーなど、何百人ものヒトが集まり、知り合い同士で和気あいあいしている場が苦手。食事会でも 6人を超えると、仲が良くても閉塞感が襲ってくる。困ったものだ。

● 災害ニュース
東日本大震災のときは、軽くうつ病になったぐらい。ニュースを見るたびにドンヨリ気分になって無気力、虚無感に苛まれる。たくさんのヒトに向けられた圧倒的な災いを、当事者じゃないのに一緒に影響を受けてしまう。これまた困った。

● 否定
自分の価値が上がるわけでもないのに、無駄に否定する。と、一番身近なヒトに教えられた。否定されるのも苦手。。。まあ、どっちどっちか。

● 悪ノリ
悪ノリしたときや調子に乗ったときって、大抵失敗することが多い。周りの状況も見えず、自分よがりでヒトを巻き込む行動をするから、引かれるなどトラブルに発展する。結果ケガをするのだ。これはボクが体験して得たこと。もちろん他人の悪ノリも好きではない。

● 人をけなして笑いをとる
こういうヒトってグループの中にひとりはいる。調子に乗ってしつこくエスカレートしがち体質。聞いてて笑えないし気分良くないから「そういえばさ~」とか言って違う話題を振ることにしている。 陰口もまたそのひとつ。いるよね~、そういうヒト。

● 「話がある。」
このフレーズで始まるときは、大抵悪い話でしかない。さらにその場で話してくれればいいものを「近いうち時間を調整して」みたいなこと言われると、それはそれは最悪。それまでの時間どうしてくれようもんか。もしかしたらこれが一番嫌いかも。なんならひと思 いに刺してくれればいいのに。

● 融通が効かない
マニュアルやルールでガチガチな世の中。そうでないと動けないヒトもいるし、管理もできないのであろう。まったくもって味がない。なんでもオートマティック、ロボットに代わる日も近い。

先日立ち飲み居酒屋に行った。
手際がものすごく良くてとにかく会話がおもしろく、酔っ払って寝ている客のアタマをパコパコ叩く。ちょっと手が空いたかと思えば率先して仕込みまでしている女性店員さんがいた。髪の毛はムラサキ色。話を聞いたら服飾の専門に通っているらしく、デザイナーになりたいと言っていた。そんな彼女はまだ17歳でバイトと聞いて驚いた。

歳は関係ない。 教科書人間より、柔軟でこういうヒトと一緒に仕事がしたい。


「まとめ。」

それぞれ理由を綴ってみたのだが、まあ~感情の揺れ動きがひどい。

好きなことではちょっとピュアな気持ちにさせられ、嫌いなことでは書いてる自分がなんとも嫌になってくる。ただわかったことは、ボクはヒトが嫌いなくせに、ヒトのことが気になる<あまのじゃく>。他人に言われるぐらいだからわかってはいたけど、あらためて実感。

根暗で妄想の激しいロマンチスト。制限されることが苦手な大人。ろくでもない。。。 でも良いところもあるのよ、どこかに。

『好きなこと、嫌いなこと』を通して自分を知れるいい機会になった。好きなところは大切に。嫌いなことは極力薄めるように。

ヒマな雨の日曜日、コーヒーでも飲みながらどうすか。

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第九話『好きなコト、嫌いなコト ~好き編』

日曜日のワンマンコラム『じろうの道草』。
「自分のコトを、実は自分が一番知らない」なんて言葉をよく聞く。人からどう見られてるとか見られたいとか、なんか思春期に悩みがちなフレーズ。さすがにそういう思考はなくなった。歳をとることで得られる特権であり、生きることが楽になる。

確かに自分のコトってわかっているようで、他人に言われた一言に気づかされることもある。ということで、改めて『自分の好きなコト、嫌いなコト』を書き出してみる。そうすることで、新たな発見があるかもしれない。


好きなこと。

○ 日曜日の雨
日曜日の朝起きて、窓が雨粒で濡れているのを見るとテンションがあがる。学生時代は<トレイシー・チャップマン>のレコードでもかけて、しっとり気分をさらにディープにしたい。

○ ひとりの時間
「ひとりの時間を持ちすぎて、人と暮らせない」とか言ってるヒト。わかる!わかりすぎる!一緒にいるヒトが嫌というんじゃなくて、ひとりでいることが良すぎるのよ!ただ、ここが落とし穴。お気をつけあれ。

○ レンコン
メニューに、『レンコンの〇〇』とか書いてあると、どうしても頼んでしまう。甘さと食感がたまらない。煮込まれちゃうとちょっと。。。

○ エンタメ
ディズニーランド、アニメ、音楽、アート、スポーツなどなど、ヒトを喜びの表情にさせるエンタメが好きだし、作り出せること自体を尊敬する。そんな憧れからか、最初に就職したところがイベント制作会社というのも必然だったと後になって気づかされる。どんな小さくてもそんなエンタメを作りたいと、いまなお企んでいる。

○ いろんなライブ
エンタメにも通ずるけど、ライブがとにかく好き。音楽はもちろん、ショー舞台、落語、スポーツ、動物園、景色まで、映像でもすばらしいのに、ライブだとさらなる感動をもらえる。結局は、感動したいしさせたいだけか。

○ 日本人の活躍
大谷翔平を筆頭に、松山英樹、この前ノーベル賞をとった真鍋さんのような優秀な人、テレビとかで見る途上国で発展に尽力している人たち。日本を離れ、異国で活躍されている人たちの話が好きで、自分もがんばろうという気にさせてもらえる。いまだ、小学生マインド。

○ 空港
東京が大好きなくせに、空港へいくとすぐそこが海外につながっているドアみたいに思えてワクワクする。あとあんな重い飛行機が、空を飛ぶということに未だ不思議な気持ちを抱いているので、見ているだけで楽しい。ただ現実逃避したいだけかもしれない。

○ 東京の大雪
これはもうたまらない。
不謹慎かもしれないけど、東京のような大都市がこの水の塊にすべてを覆われ、ロマンティックな白銀の世界に屈してる感じ。現実と非現実の境目がない、すべてが止まるファンタジーな時間。イメージは、『ポールのミラクル大作戦』。古すぎて、知っている人だけの郷愁をつつく。雪国の人たちからしたら、毎日のことと笑われそう。

○ 探しモノが見つかる
物理的な物もだけど、悩んでいたことに光が射してきたときのあのホッとする瞬間。まさに希望の光。

○ 前日
小学校の修学旅行、日光に行った。着いて、その夕方に40°近い熱を出して、母に電車で迎えにきてもらった。。。楽しい当日より、ワクワクしている前日が好き。これだけ数を重ねているのに、ゴルフの前日はいまだに寝れない。


まとめ。(仮)

いや~嫌いなコトも書いたのだが、コラムにしてはものすごい量になってしまった。ということで、次回、第十話『好きなこと、嫌いなこと ~嫌い編』をまとめとともに。

ただ、これは発見がある!
好き嫌いを10個ずつ、まず箇条書きから出してみる。最初の数個はすぐだけど、これがなかなか結構なもので。なんとなく思っていることでも書き出すとなると、いろんなコトを思い返す。これは本当に好きなコトなのか、内面が震わされるぐらいなのか、本質的な好きを選びたいと、自分の中で葛藤が始まる。

大事なコトじゃないよ。あくまでも好きなコト。

雨の日曜日にでも、やってみて。

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第八話『点を結んで、線とする』


最近の『じろうの道草』コラムで昔話が続いたこともあり、未来にについて書いてみたいと筆を走らせてみる。過去の出来事はそのままを書けばいいのだが、まだ起こっていないことはどうしたらいいのか。

とりあえず書く。


「昨今」

今年もあと1ヶ月ちょい。2021年ももう終わりだ。いや、そっちの昨今ではない。

世の中、ここ数年でゴロっと変わったと実感する。わかりやすいところでいうと、お店で買ってたモノがネットショップでの買い物に。また、NetflixAmazonプライムのような定額でサービスが受けられるサブスクもあたりまえ。ユーチューバーやインスタグラマーなんていうのも、ここ数年で認知されてきた。人との出会いもアプリでできるようになるなんて、日進月歩、時代はものすごいスピードで進んでいる昨今。

今まで生きてきた中でも最強最速、目を見張るものがある時代の変化。これだけいろんなことが生まれ、かつてのものが崩壊を繰り返す。コロナのような突発的なものまであるし、長期的な未来どうなるかなんて予測できるわけがない。

だからといって、疲弊しても仕方がない。まずは生活にどう良いモチベーションを持ち込めるか、が目先の重要ポイント。


「幸せ、倍増計画。」

「場所」「時間」「誰と」が明記されたスケジュールを見るたびに、道順、時間配分、話す内容などが頭の中を駆け巡る。また、トラブルなどに振り回されることが多い職柄もあり、気が休まることがない。

予定を入れること自体重く捉えがちで苦手なボクだが、最近やっと克服してきた兆しがみえる。予定を入れようが入れまいが、やらなきゃいけないことがなくなるわけではない。どうせ時間は流れていくし、ほかのことができなくなるわけでもない。いまさら気がつき、予定に自分をコントロールしてもらうことに充実感を覚えるようになってきた。

仕事の隙間にホッとするような予定が入っていると、反作用が働いて、逆に幸せな気持ちが倍増することもわかった。勝手に忙しぶった、自己完結気味の幸せ倍増計画。


「ボクには予定がある。」

まずひとつめ。

<クリスマスに公園で花火をする>
これは去年から始まった。浅草橋にある花火問屋『長谷川商店』は、1年中やっている。見たこともない花火が店の棚を覆い尽くす。おすすめは、置いて吹き上がる<噴出花火>。足を運んで選ぶ行為そのものがすでに楽しい。
冬は空気が澄んでいるから、花火の光を鮮明に映し出してくれる。人もほとんどいないし、蚊に刺されることもない。しっかりバケツに水を入れて、花火のできる公園へ。冬の深い暗闇を彩る花火も美しい。

<ゴルフへいく>
実兄が催しているゴルフコンペ。オンシーズンであれば月に一度開催される。ほかにも、30年ぶりに中学の同級生から連絡がきたかと思えば、ゴルフのお誘い。いまでは月イチペースで会うようになった。それとGOBの副主催を巻き込んで、11月に初めてゴルフ場デビューに同伴する。

<流木のアク抜き>
水槽を一新したこともあり、カタチのいい大きな流木を手に入れた。よく目にする流木だが、このまま水槽に入れてはとんでもないことになる。流木は、水に入れると翌日には濃い紅茶ぐらい水は濁る。水を入れ替え続けてやっと水槽に入れられる状態になるまでは、3ヶ月~6ヶ月かかる。早く水槽レイアウトしたいなー。

<靴をオーダー>
パリに行くたびに必ず寄るところがある。
ANATOMICA>のパリ本店は、世界中の<ALDEN/オールデン>ファンが集まるお店。ここ以上の品揃えは本国の旗艦店でもあり得ない。探しても見つからない靴がなぜかあったりするし、オーダーしても通常2~3年かかるところ、1年みれば大体のものが手に入る。自分に合わせたものなら、スニーカーより疲れない<ALDEN/オールデン>の革靴。数年前から行くたびに1足オーダーして、また訪れたときに履いて帰る。これもひとつの楽しい布石。

<父との将棋>
会うたび、ふたりで何時間も将棋盤とにらめっこ。この歳になって、こういう時間が幸せだと感じる月イチの楽しみ。


「小さいものをコツコツと。」

どんなことだっていい。
ちょっとした楽しみを、数週間〜数ヶ月単位で入れていく。それに向けて、準備したり練習したり。こういう近未来の楽しい『点』を、できるだけ日常に取り込んでみる。この『点』を励みに生活してたら、あっという間に1年が過ぎていく。

余計なことを考えず、どんな小さい『点』でもいいから、それだけを意識して日常を過ごす。目の前の小さな楽しみだけを拾っていけば、振り返てみると道ができてる。

これが、タイトルの『点を結んで、線とする』。


「まとめ。」

「今日が明日をつくるんだ~♪」
なんて、先日活動を休止した< BABYMETAL>の歌詞にもあった。未来ばかり見ていても、予定通りいったためしはないし、難しすぎてどうなるかなんてわからない。

極力ネガティブな感情を持たないように。いまは普通でいられることに感謝をしたい。

先日、突如勃発した歯痛のおかげでこんなことを書いている。

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第七話『いま、なにやってんだろう? 其の弐』


ヒトとの出会いって、1年間でどれだけあるものなのか。
お店のヒト、落としもの、ぶつかったなどで一瞬会話したヒトなども含めると、莫大な数になるだろう。そのようなとあるひとりの女の子。いや女性の話。

第六話の冒頭に綴った、携帯の写真フォルダーを見て企画を思いついたきっかけの張本人。


「ロンドンボーイ。」

2019年10月。
パリコレを終え、その足でロンドンへ。

某アパレルメーカーと、ロンドンにあるお洒落ショップとのコラボレーションの仕事で、ロンドンへ移動。日本からはメーカーのふたり、現地のホテルで落ち合うことになっている。

彼らは、ブランドの企画担当。どんな服をラインナップして、どう打ち出していくか。アパレル会社を目指す人からしたら花形の業務に携わる30代の男性と20代の女性。事業部部長はボクと同い年で、彼らが渡英できるよう社内調整に尽力したのを知っている。素晴らしい上司だ。

翌日から、コラボ交渉、ショップリサーチ、フリーマーケットなどで買付け、ロンドンの名店などを何日もかけて歩き回る。毎日クタクタだが、とても新鮮で飽きることはない。


「2週間前。」

2週間前にさかのぼる。
ふたりともロンドンは初めてということで、なにか記念になるものをプレゼントしたいとずっと考えていた。モノとかもちょっと違うし、食事といってもなんかパッとしない。ロンドンならではのものはないか、答えがまったく見つからない。

ある日、モデルのEMMAちゃんと同じコレクションでばったり遭遇。 彼女がイギリス人のハーフということもあり、事情を説明したら、あっさり解決してくれた。 彼女は大のサッカーフリーク。イギリスのプレミアリーグの試合を観戦しに、毎年ロンドンに行くぐらい。「そうだ、プレミアリーグへいこう」。はい。

いきなりのこんな相談に忙しい中いろいろ手配してくれて、彼女には本当に感謝しかない。あらためて、ありがとう。


「たまたまの出会い。」

イギリスといったら「フィッシュ&チップス」と「プレミアリーグ」。日本でいう「寿司&天ぷら」と「相撲」ぐらい安直で申し訳ない。

ふたりが、サッカーを好きか嫌いかは完全無視。スタジアムでの時間が思い出になってくれればと勝手に期待。ここであるヒトと出会う。

試合を終え、ビールのせいもあってか3人とも興奮冷めやらぬ状態。会場をあとに駅に向かう道すがら、とぼとぼ歩く日本人らしき女の子が横にいる。チケットを手配してくれたヒトの知り合いで、同じ試合を観ていたようだ。話を聞くと、なにやら興味深い。どうせ駅も人で溢れかえっていることだから、4人で食事をすることに。すぐ近くのベトナム料理店に入り、みんなでフォーを注文。

20代前半の彼女。
どうやら、ワーキングホリデーいわゆるワーホリでロンドンに滞在しているらしく、いまはお好み焼き屋さんで働いているとのこと。ただ英語が得意なわけではなく、物価も高いから、家に閉じこもっているらしい。毎日の生活がつらいと涙を浮かべて話してくれた。

素朴な疑問。じゃあ、なぜロンドンにきたのかと聞くと、意外な答えが。


「抑えきれない衝動。」

まさにこの「プレミアリーグ」が大好き過ぎて、ワーホリに応募したら当たったので、勢いできたというのだ!
きっとテレビで、プレミアの試合をくまなく観て、憧れのスタジアムでいつでも観戦できるようになりたいって思ってたら、ワーホリの応募を発見。この先に夢が叶う未来が繋がっているのだと、きっとワクワクしたことだろう。

後先考えず、好きなことに邁進する行動力。
いてもたってもいられなくなる衝動。
好きなことがあるから、つらくても耐えられる。

彼女のいまの生活環境とは裏腹に、ボクは純粋なパワーというか、エネルギーのようなものをしっかり貰った。
そりゃそうでしょ。きっと、本気で英語を学びたくてワーホリに応募するヒトからしたら、動機が不純とか、意味があるのかとか、聞こえてきそうだけど、もちろんその側面もある。だけど、ただただプレミアの試合を観たいという強い想いが、運も引き寄せ願いを叶える。これって、そうなるべくして敷かれた道な気がしてならない。

そんな泣いてた彼女が、プレミアの話をしている時だけは、生き生きしていたのは言うまでもない。

その後、どうなったかは3人とも知らない。



「まとめ。」

経験を重ねると、こういう場合はこうなるとかアタマでっかちになりがちだ。もちろんイイ場合もあるのだが、『衝動』からすると相対するものになってしまう。

<結果がすべて>論調がはびこっている現代、そんな結果っていつか出せばいいんじゃね!って思っているボク。というのも、失敗しないと得れないものってあって、成功ばかりが価値ではないと思っている。こんな甘いことばかり言っているから笑われるとは思うのだが、こればっかりは仕方がない。いまだボクの本当の成功が、どこにあるのかわからないのだから。

『衝動』だけで動ける時間って限りがあって、かけがえのない、感情にも似たココロの動作。ネットでポチっ程度とはわけが違う。人生が変わるぐらいの『衝動』からの行動。 結果どうあれ、それを笑うヒトは、本当の価値を知らずに生涯を終えるのだろう。

子どもと言われたってイイ。 ボクは、いつまでも『衝動』を大事にする大人になりたい。

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第六話『いま、なにやってんだろう? 其の壱』

 

iPhone13が発売された。

ボクが使っているのは、iPhone10 Pro Max。2、3年前のものだけど、いまのところまったく不便はない。しかしながら、こういう職柄もあってか、カメラ機能だけはあげておいたほうがいいかなとも感じている。

そんなこんなで、過去の写真フォルダーを見ていたら、ふと目に止まったある人物の写真。そこから、第六話のお題『いま、なにやってんだろう?』を思いついた。

はじまりはじまり。


気ままにもほどがある。

ボクは、ひとり。
5年間のアメリカ滞在を終えて、ヨーロッパ経由で日本帰国を試みる。まずはロンドンに入り、2週間後のロンドン発の飛行機のチケットを取る。その間は、自由気ままなひとり旅。2週間後、ロンドンに帰って来れればどこにだって行けちゃう夢のような時間。

まずはロンドン<アールズコート駅>近くの宿を1泊 20ポンドで見つけ、数日間過ごす。シャワーもトイレも共同で、ベッドで寝るとダニに喰われて寝れたもんじゃない。テレビは天井からぶら下がり、3畳ぐらいの牢獄のようだけど、映画に出てくるワンシーンのようで、これはこれで嫌いじゃない。

その後、ユーロスターでパリへ。東京から大阪へいくように、高速列車を降りたらあっさりパリに到着。『華の都パリ』。ファッションをかじっていたボクにとって、憧れの街。。。のはずだった。

当時のボクは、なにも刺激を受けなかった。いや、受けることができなかったと言ったほうがいいだろう。大人になって仕事でパリを訪れるようになったら、回数を重ねるほどに魅了されていくのだから、なんとも奥深いパリの街。ボク自身が未熟だったのだろう。

話を戻そう。街を歩き回って数日、パリはホテル代も高いので、1泊浮かせるためにも寝台列車でどこかへいけないか調べたところ、「そうだ、ベネチアへいこう!」と思いつきで決めた。ここで、ある人物と出逢うのである。


25年前のパリ 北駅

ホテルのチェックアウトを終え、列車の出発まで時間を潰し、日暮れ近くか<パリ 北駅>に到着する。この駅からは、国内外いろんな街へ行けることもあって、結構複雑。フランス語もなに言ってるのかわからなかったけど、なんとかホームの待合場所にたどり着く。出発まで、まだまだある。煙草でもすって時間つぶし。

ぷか~としてたら、なんか目線を感じ見回すと、アジア人の男の子が目に入ってくる。

彼はバックパッカー。大きなリュックを傍に、フランスパンをかじり、大きな水のペットボトルを抱えながらボクを見ているのだ。同じアジア人でも、なんとなく国籍はわかるもので、日本人だとなんとなく思った。ボクも久しぶりに会話をしたかったのか、話しかけるとやはり日本人で、卒業旅行で彼もひとり旅をしているのだという。

ただ彼は、ほかの観光客と違い大問題に直面しているのだった。スリにあってお金を一銭も持っていないというのだ。今もいるけど、当時はジプシーと呼ばれる”スリ集団”があっちこっちにいて、被害に遭う日本人が多発していた。彼もそのひとりなのだろう。数日後に、シティーバンクのカードが再発行されるらしく、それまではこの残り少ないパンと水で過ごすとのこと。すごいのが、彼はそんな落ち込んでおらず、「イイ経験だ!」なんてぬかすのだ。

そんな境遇なのに、お金貸してとか一切言わず、むしろ楽しんでる感を出してくる。3月のまだ寒い時期、あちこちにジプシーがいて、野宿確定のこの知らない旅行者に、煙草2箱と100フラン(当時 ¥2,000ぐらい)を勝手に渡して、ボクは列車に乗り込んだ。

それから、彼とは会っていない。


その後。

ベネチア以降の話は、本題とはズレるので割愛する。その後、どこでなにがあったかは、機会があれば話をしよう。



まとめ。

バックパッカーの彼との出逢いを、25年ぶり思い出した。頼もしいというか、生命力があるというか、ボクにはないものを彼から感じた出来事だった。年の頃もそんなにかわらない同世代、彼はきっとGood Old Boyになっていることだろう。

一緒に煙草をすって共にした10分。その後の数日間、彼がどう過ごしたのか聞きたいものだ。


追記)
次回、『じろうの道草』第七話『いま、なにやってんだろう? 其の弐』では、また別のヒトの話をしよう。


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